ガパオの入っていない「ガパオライス」の謎

真のタイ料理を探す

いわゆる「ガパオライス」を食べに来たわけではなかったのですが、以前どこかのメニューで見た「ガパオライス」に、衝撃が走ったことがありました。

そこにあったのは、色とりどりのパプリカとジャガイモ(?)の炒めものに、目玉焼きらしきモノが乗せられた一皿。 タイ人がこれを見たら、知ってるガパオと発音は似ているけれど「全く別の日本の初めて見る料理」にしか見えないんじゃないか……という、なんとも不思議な一皿でした。もちろん怖くて注文してません。

日本で見かけたメニューのガパオライス。パプリカは彩り豊かですが、肝心の「あの葉っぱ」が見当たりません。

「ガパオ」は料理名ではなく、植物の名前なんです

そもそも、私たちが当たり前のように呼んでいる「ガパオ」とは、植物の名前なんです。日本語では神目帚(カミメボウキ)、英語ではホーリーバジルと呼ばれます。

つまり、ガパオライス(パッガパオ)とは「ガパオという野菜を炒めた料理」のこと。 鶏肉や豚肉はあくまで脇役であり、主役はあの刺激的で爽やかな香りの「葉っぱ」そのものなんですね。

これこそが主役、フレッシュなガパオ。この野生味溢れる香りがなければ、物語は始まらないのです。

日本の「ガパオライス」の不思議な進化

今、日本のガパオライスは多種多様すぎて、もはや定義がわからなくなっていますよね。 ナンプラーで炒めていたらガパオライスなのか、目玉焼きが乗ってたらガパオライスなのか? いや、実は本場タイでは、目玉焼きはあくまで有償の「追加オプション」の位置づけだったりします。

ついに沖縄風まで登場していました!「バジルが香る」とは書いてありますが、ガパオの文字はパッケージ名にしか見当たりません……。

日本のタイ料理店でもよく見る、赤と緑のパプリカが主役のスタイル。彩りは満点ですが、香りの正体はどこへ……?

たまにおしゃれなカフェでスイートバジルの葉が乗っていることもありますが、それはイタリアンに例えるなら「ジェノベーゼを頼んだのに、シソの葉が乗ってきた」ようなもの。香りの種類が、根本から違うんです。

日本食に例えるなら、肉じゃがにジャガイモじゃなくて「サツマイモ」が入っているような違和感でしょうか。あるいは、ジャガイモ抜きの「肉とニンジンだけの炒めもの」に近いのかもしれません。

本物(原理)が教えてくれる、痺れるような感動

一方で、現地の「パッガパオ」を見てください。ちなみにこれは鶏肉ではなく、シーフードを使った「パッガパオタレー」ですね。

「入れすぎじゃない?」と思うほどの葉っぱが、熱気と共に香りを爆発させます。

これこそが、私たちが愛してやまない「原理」の味。 一口食べれば、鼻に抜ける強烈なガパオの香りと、突き抜ける唐辛子の刺激! これこそが、本物だけが持つ「痺れるような感動」の正体です。 (ちなみにこれ、めちゃくちゃ辛かったです!美味しかったけれど、かなりむせました……笑)

本物の香りを、探しに行こう

私たちは、日本のアレンジを否定したいわけではありません。でも、あのガパオ本来の香りがもたらす「多幸感」を、もっと多くの人に知ってほしいなと思うんです。

東京の蔵前にある、その名も「ガパオ」というお店のように、日本でも本物の志を持つ名店は確実に存在します。

これから、そんな「原理」を大切にするお店や、家庭で本物の味を再現するヒントを、愛を込めて紐解いていきますね。

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